#05可愛い子には旅をさせよ。
- 一竜 小澤
- 2021年4月1日
- 読了時間: 2分
更新日:2021年4月12日

「可愛い子には旅をさせよ」
そんな旅の始まりは16歳の春でした。
前話から登場してきた父を改めて紹介すると、建築業を営むパンチパーマでグラサンの頑固な親父でして、
子供の頃僕が嘘をついたりすると、ここではなかなか書きづらいレベルのお仕置きで根性を叩き直してくる、それはそれは厳格な父でした。

前談でも話したとおり、会社が倒産し母も出ていった時の自分は思春期で気が大きくなっており、バチバチの反抗期でした。
そんな高校一年生の終わり頃、
僕はいつものようにアルバイトで炉端かばへ出掛ける夕方、久しぶりに父とケンカをしました。
それは、高2から通学で使うバイクをネットオークションで買ったことについてでした。
父はしきりに「そんなどこのやつかも分からんもんから買って信用なるんか?」と言っていて、
僕は「そんな世の中悪い人だらけじゃないけん」と腹を立てながら出ていきました。
それが父との最後の会話でした。

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